浸水時間ゼロでもちもち・つやつやのごはんが炊ける圧力鍋。
圧力鍋炊飯の魅力を、お米がいちばんおいしい『新米』の季節にお届けしたい。
そんな思いから、よりおいしく圧力鍋炊飯を楽しんでいただく方法を、お米にまつわるコト・人・産地・旬のお料理などを幅広い視点から発信する「喫禾了」を立ち上げた料理家/食のデザイナー 片幸子さんにお聞きしました。
これまで土鍋でお米を炊くことが多かったという片さん。
圧力鍋炊飯では浸水いらずで時短なことに加え、食べたときに感じるお米の粒感や弾力が圧倒的にしっかりしていることに驚いたとのこと。
今回は2回にわたり、圧力鍋で新米をよりおいしく炊く方法を検証していただきました。
前回の1回目のレポートでは、新米を炊く時の水の量と、蒸らし時間のポイントについてお伝えしました。
今回のレポートではさらに、「フィスラー社の圧力鍋で、さらにおいしく新米を炊く条件」を掘り下げてみたいと思います。
まずは、圧力の違いについて。
今回使っている「ビタビット プレミアム 3.5L」では、3段階の圧力が選べて、それにより、バルブが上がってからの加熱時間が変わります。
白米の炊飯の時の目安は、
・高圧(バルブ表示は3):3分
・中圧(バルブ表示は2):4分
・低圧(バルブ表示は1):5分
ひとまずは、前回までで出たおすすめの条件を活かし、圧を変えて試してみました。
■お米(新米):3合
■水:480ml
■加圧後火を止めてから20分蒸らす
これまで中圧で統一して炊飯していたので、それに比べて、低圧、高圧はそれぞれどうか、です。
まずは、低圧にしたとき。
米粒周りの水分量が多くなり、ご飯が少し硬く仕上がるように感じました。
圧力鍋での炊飯では、お米の粒感(粒だち)と弾力(もちもち感)がすごく良いところが魅力に感じますが、そこに硬さが出る印象です。
ほどよくやわらかい食感で魅力も活かされていた、中圧で炊いた時のほうがバランスが良かったように思いました。
フィスラーさんにこのあたりを伺ってみましたら、低圧の時に硬さを感じるのは、通常の基本レシピから水分を減らしていることで加圧時間とのバランスが変わったのかも、とのことでした。
そして、高圧にしてみると。
ご飯に硬さはなく、ちょうどよい感じ。お米の粒感(粒だち)と弾力(もちもち感)もしっかりあります。
ここは中圧の時とあまり変わらず。ですが、中圧や低圧のときよりも、米粒周りの粘り気が減り、炊き上がりの粒離れが少しよくなりました。
圧力鍋での炊飯では、古米でも新米でも、米粒周りの粘り気が強めな印象ですが、比較の中では高圧炊飯が一番それが少なめで粒離れがよかったと思います。
ある程度粒離れが良いほうが、口の中でもほどけやすく、盛り付けもしやすいことから、圧力による違い、というところでは、高圧をおすすめしたいと思います。
ここでは新米の場合ということで見ているので、その時に食べているお米の状態や、お好みの炊き上がりに合わせて、圧力や水分量を探してみるのも良いですね。
今回使っている圧力鍋「ビタビット プレミアム 3.5L」の仕様では、最大5合まで炊飯ができます。
これまでは3合で炊いていましたが、はたして1~5合までのうち、もっともおいしく炊ける量というのがあるのか、またはどの量でも変わらないのか、試してみました。
その前にひとつ、フィスラーさんに質問をしました。
「お米の量が変わると、加圧時間は変わるんでしょうか?」
お答えは、「お米の量による変動はありません」、とのこと。
お米が何合であれ、それぞれの圧力での加圧時間は同じでOKだそうです。
なるほど、それはわかりやすくて良いですね。その時によって炊きたい量が違うこともありますが、難しくならなくて助かります。
これまでの条件を活かしつつ、米の分量を変えて炊いてみました。
水の量は、水分の適量は3合に480m1としていたので、1合に対して160mlという比率、加圧は高圧で3分、加圧後火を止めて20分おく、という条件にて。
ちなみに、炊飯量の最小は、圧力鍋内側の「min」ラインを下回らないこと、最大は、「max」ラインを上回らいない量、という条件がありますが、1合は鍋の容量に対してかなり少なく感じたので注意してみましたら、「min」のラインぴったりくらいでした。
3合を炊いた時に比べてどうだったかというと、結論は、3合が一番バランスが良いと感じました。
それぞれの量と、3合の時を比較した印象です。
比較をすると、という結果ですが、炊飯自体はどのお米の量でも可能です。
ただ、1合の時はかなり硬く感じたので、同じ条件であれば、2合以上をおすすめします。
結果はあくまでも、条件を固定した上のものなので、お米の量によって水の量は調整しても良いのかもしれません。
また、「ビタビット プレミアム 3.5L」容量以外の製品だとこれは変わる可能性はあります。
できれば最大容量の6割くらいを目安に炊くと良いのかな?というイメージですが、これについては詳しく試せていないので、あくまでも予測です。
最後に、無洗米の新米を炊く場合についてです。
スーパーマーケットなどでお米売り場を見ると、半分くらいは無洗米。利用されている方も多くいらっしゃると思います。
そのまま使えるのは楽ですし、節水やエコにもつながる利点はありますね。
無洗米と普通の精白米の違いはというと。
精白米は胚芽と米ぬかを取り除かれた状態ですが、肌ぬかがついているので、炊飯の前にそれを洗い流すことが必要です。
無洗米は、その肌ぬかも取り除かれているため、洗米の作業が必要ありません。
今回の炊飯は、サッと洗い流したりもせず、そのまま鍋に入れて炊きました。
無洗米は、肌ぬかが除かれていることで、同じ容量のカップに入るお米の粒が、普通の精白米よりも多くなります。そのため、お水の量を少し多めにする必要があります。
これまでの普通の精白米の新米は、お米3合に対して水480mlをおすすめしていますが、そこからどれくらい多めにするのが良いのか試してみました。
試したパターンはこちら。
結果は、無洗米の新米の場合、お米3合に対しては570ml(1合あたり190ml)が仕上がりが良かったです。
たった30ml(大さじ2)の量で、そんなに差が出るのかと思われるかもしれませんが、特に、540mlと570mlの仕上がりの差に驚きました。
前回のレポートvol.1からvol.2にわたり、「フィスラーの圧力鍋で新米を美味しく炊くには?」をいろいろと検証してみました。
それにより発見がたくさんありました。
新米の場合は古米より水の量など少し変えることで、よりおいしく炊きあがる、ということは想定内でしたが、それ以外に圧力鍋ならではの特長にいろいろと気づきがありました。
・圧力鍋自体の取り扱いが思った以上に手軽でカンタンで分かりやすい
・炊き上がりは、圧力鍋ならではの魅力があること(つややかで、粒だちと弾力が抜群)
・それが、冷凍保存後に温めなおしてもあまり変わらないこと
・圧力の違いや炊く量などでも仕上がりに差が出るので、新米以外でも、炊き込みご飯や二段調理なども試してみたい
などなど。
加熱を始めたら、バルブが上がったタイミングで火を弱めたり、加圧時間を計る必要はありますが、浸水が不要なこと、加熱時間が短いことのメリットは大きいですね。蒸らし時間に汁物やおかずの仕上げができるので、炊きたてご飯と一緒に食べられるのは嬉しいところです。
まずはみなさまにもぜひ、新米がおいしくいただける時期に、圧力鍋ならではの新米のおいしさをご体感いただけたらと思います。
※今回のレポートでの炊飯は、比較の精度を上げるため、お米1合=150g、お水1ml=1g として重量を計量して行いました。
また、新米の品種は、新潟県産コシヒカリ(2022年10月精米のもの)を使用しています。
>>片幸子さんコラム「フィスラーの圧力鍋で『新米』をおいしく炊く」Vol.1はこちら
料理家/食のデザイナー。
2003年より、料理家として食品メーカーや販売企業向けのレシピ開発や広告ビジュアル制作などに携わる傍ら、2022年9月には、食のデザイナーとして『喫禾了 kikkaryo』というオウンドメディアを立ち上げる。
『喫禾了 kikkaryo』では、「お米のある日常と当たり前のことを尊ぶ」をコンセプトに、お米にまつわるコト・人・産地・旬のお料理などを、幅広い視点からブログスタイルで綴っている。お米に支えられている私たち日本人の食文化を次世代につなぐことを目的とし、米炊きの研究をはじめ、お米農家さんや、お米からできる調味料(味噌、酢、味醂、酒など)についても、全国各地の生産者を訪れ取材をし、造り手の想いを伝えている。
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